チチタロー。

中学でサッカー部を選んだ僕に、幼なじみが残念そうに言いました。
「お前みたいなやつがプロ野球選手になると思ってたのにな」。
いまだ人生で一番うれしかった言葉です。

才能があったかどうかは別にして、
僕は本当によく野球の練習をしました。

父親は、テストの点数がよくても、まるで喜ばないし、褒めもしませんでしたが、
きれいなセンター返しのヒットを打てば激賞してくれたからです。

放課後は日が暮れるまで塀に向かってボールを投げていたし、
素振りのしすぎで、おじさんのような手のひらをしていました。

投げても打っても、
僕より遠くに飛ばす友達はいたけれど、
僕より正確な人はいなかったと記憶しています。
(若干、記憶が美化されているかもしれません)

中学でサッカーを選んだのは、
サッカーの方が、自分よりうまいやつが多くて悔しかったから。
自分の学校のサッカー部は強く、野球部は弱かったのもあります。

ストイックな子どもでした。
どこにいったのでしょう、あのころの自分。


最近、直太朗が野球に興味を持ち始めました。
ドラえもんののび太やオバケのQ太郎のしょうちゃんの影響です。

きっかけはともかく、
僕の気持ちは沸き立ちました。
息子とキャッチボール!
息子にフォーム指導!
息子が甲子園!
息子メジャーで僕チチロー、いやチチタロー。
夢は膨らみます。

さっそくホームセンターでプラスチックバットとゴムボールを買ってきて、
公園でバッティング練習をしました。

飽きっぽくマイペースな直太朗のため、まずは調子に乗せなければいけません。
できるだけ当てやすい場所に当てやすいスピードで、
むしろスイングに合わせてボールをぶつけるような感じで投げてやると、
当然、けっこう当たります。
思惑通り、直太朗は調子に乗って次々とボールを打ち返します。
親子そろって満足して帰路に就いたのでした。
チチタロー。


それほど興味なさそうだった多笑が
鋭いスイングで強打を繰り返したのは、うれしい誤算でした。
娘とソフトボールでキャッチボール!
娘にソフトボールのフォーム指導!
娘がソフトボールでインターハイ!
夢は膨らみます。親ってバカだなあ。
チチタロー。


次の日も野球をしたいという子どもたち。
雨が上がるとすぐ公園へ行って、バッティング練習にいそしみます。
前日と同じく、できるだけ楽しめるよう、当たりやすい場所に投げる僕。
しかし、あっという間に終焉はやってきました。
ボールを拾いに行った砂場から直太朗が帰ってきません。
チチタロー。


ドラフトまであと12年5か月。
とりあえずTSUTAYAで巨人の星でも借りてきて見せようかな。

ちなみに多笑は今日も楽しそうに鋭い打球を打ち返していました。
娘がインターハイ!
親ってバカだなあ。


(夫記)



2015年06月21日 Posted by安斎 at 18:06 │Comments(0)

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